工場の設備や製品をきれいに撮っても、求職者に「入社したら自分は何をするのか」が伝わるとは限りません。製造業の採用動画では、職種ごとの仕事、教わる場面、周囲との関わりを見せることで、働く姿を具体的に説明できます。
この記事では、製造・組立・検査・生産技術などの採用に向けて、動画の構成と工場撮影の準備を整理します。撮影する場面の一覧、2分の構成例、社内で使える企画シートも掲載しました。
製造業の採用動画は、次の3点から企画する
- 募集職種を一つ決め、その人が担当する仕事を見せる。
- 仕事の難しさと、教わる・相談する場面を組み合わせる。
- 撮影できる場所と情報、現場の確認担当を先に決める。
製造業の採用動画で最初に決めるのは「誰の仕事を伝えるか」
同じ工場で働いていても、加工を担当する人、組立を行う人、品質を確認する人では、仕事の流れも求められる姿勢も異なります。最初の一本は、優先して採用したい職種に絞って企画すると、必要な映像を選びやすくなります。
まず人事と現場担当者で、面接や工場見学でよく聞かれる質問を集めます。「未経験でも覚えられるか」「一人で作業する時間が多いか」「何を見て良否を判断するか」などを、撮影したい場面に置き換えましょう。以下は企画を考えるための例で、各職種の仕事内容を一律に定めるものではありません。
| 募集職種 | 求職者が知りたいことの例 | 撮影する場面の候補 | 現場に確認すること |
|---|---|---|---|
| 製造・機械加工 | 何を担当し、どう仕事を覚えるか | 担当工程の全体、確認作業、先輩から説明を受ける場面 | 担当範囲、教育の進め方、公開できる設備・製品 |
| 組立 | 個人作業か、周囲と連携する仕事か | 手元、部材の受け渡し、作業前後の確認 | 役割分担、実際の作業姿勢、見せられる図面や部材 |
| 検査・品質管理 | 何を確認し、判断に迷ったらどうするか | 検査の様子、結果の共有、担当者への相談 | 使用する道具、育成方法、判定情報の公開範囲 |
| 生産技術 | 現場とどのように関わり、何を改善するか | 現場との打ち合わせ、検討資料、改善内容の説明 | 実際の業務範囲、他部署との関係、機密情報の扱い |
会社全体の紹介も必要ですが、募集職種と関係する場面を中心にします。設備の迫力だけでなく、「この仕事で何を任されるのか」が分かる説明を添えることが大切です。
2分の採用動画の構成例|製造職の仕事紹介
以下は、採用ページに掲載する製造職向けの仮の企画例です。実在する顧客の動画構成や制作結果ではありません。2分は説明のための設定で、最適な長さは情報量と視聴場面で決めます。
| 時間 | 伝えること | 映像・説明の例 |
|---|---|---|
| 0:00〜0:15 | どの仕事の動画か | 社員の仕事風景と職種名。「何を担当する仕事か」を短く説明 |
| 0:15〜0:35 | 製品と担当工程のつながり | 公開可能な製品・工程を使い、仕事の役割を説明 |
| 0:35〜1:05 | 日々の仕事 | 作業、確認、周囲とのやり取りを順序が分かるように紹介 |
| 1:05〜1:30 | 入社後の学び方 | 指導する人と教わる場面。実際の教育方法を説明 |
| 1:30〜1:50 | 社員が感じる難しさとやりがい | 本人の経験に基づく短いインタビュー |
| 1:50〜2:00 | 次に確認できる情報 | 募集職種、採用ページや工場見学の案内 |
会社説明会で上映するなら、その後に担当者が何を説明するかまで決めます。SNSで使う短い動画は、一つの仕事や質問に絞り、詳しい採用情報へ進める形を検討しましょう。短尺版や縦型版が必要なら、撮影前に納品物として共有します。
工場撮影で用意したい8種類のカット
撮影リストは「機械を撮る」「社員を撮る」だけでなく、各カットがどの疑問に答えるかまで記入します。下の候補から、企画に必要なものを選んでください。
- 職場の全体:担当する場所と周囲との位置関係が分かる映像。
- 作業する手元:何を扱い、どのような動きをする仕事かが分かる映像。
- 確認・記録する場面:作業の速さ以外に、何を大切にする仕事かを示す場面。
- 引き継ぎ・連携:前後の工程や同僚と関わる様子。
- 教わる場面:新人が質問し、説明や確認を受ける様子。
- 社員の言葉:担当業務や入社後の経験を本人が説明するインタビュー。
- 働く環境:更衣・休憩など、公開可能で仕事選びに関わる場所。
- 仕事の価値:製品の用途や、担当工程が役立つ理由を伝える映像・図解。
同じ作業でも、全体と手元を組み合わせると位置関係と動きの両方を伝えられます。ただし、撮影のために普段と異なる危険な動作を求めないことが前提です。実作業を撮れない場合は、公開可能な見本や図解による説明を検討します。
社員インタビューは、職種ごとの経験を聞く
「会社の魅力は何ですか?」だけでなく、仕事を知らない人が状況を想像できる質問を用意します。答えを暗記してもらうより、本人が話せる出来事を事前に確認しておくと、具体的な内容を選びやすくなります。
| 聞きたい情報 | 質問の例 | 一緒に撮りたい映像 |
|---|---|---|
| 仕事の中身 | 「一日の中で、どの作業を担当していますか?」 | 本人が担当している工程 |
| 学び方 | 「入社直後に分からなかったことを、どう覚えましたか?」 | 指導や確認を受ける様子 |
| 周囲との関係 | 「判断に迷ったとき、誰に相談していますか?」 | 実際の相談や引き継ぎの場面 |
| 難しさと工夫 | 「最初に難しかったことと、今も意識していることは?」 | 確認や工夫の内容が分かる映像 |
社員の経験談を、全員に共通する制度や条件として扱わないようにします。教育期間や配置、勤務時間などの説明は担当部署が確認し、最新の求人情報と整合させてください。質問の広げ方は採用広報の社員インタビューガイドも参考になります。
工場撮影の準備は、人事・現場・制作担当で分ける
撮影日の調整だけでなく、誰が何を確認するかを決めておきます。人事だけで撮影範囲を決めず、現場の責任者と、撮影の進行を担当する人を交えて確認しましょう。
| 時期 | 確認すること | 主に関わる担当者の例 |
|---|---|---|
| 企画時 | 募集職種、応募者の疑問、使う場所、公開希望日 | 採用担当・制作担当 |
| 撮影計画時 | 撮影可能区域、製品・図面・画面の公開範囲、立ち入り条件 | 現場責任者・情報を管理する担当者 |
| 撮影前 | 出演者の協力、必要な服装・保護具、移動経路、撮影の時間帯 | 現場責任者・出演者・撮影担当 |
| 撮影当日 | 撮影位置、現場との連絡方法、変更・中断を判断する人 | 現場責任者・撮影担当 |
| 公開前 | 説明内容、機密情報の映り込み、出演者の確認、最新の募集情報 | 採用担当・現場責任者・公開承認者 |
たとえば検査の場面では、映像に映る検査記録、顧客名、図面番号、モニターにも確認が必要です。撮影後に隠す対応だけを前提とせず、ダミー資料の使用や画角の調整など、撮る前の対応を検討します。
制作費は、撮影する範囲と納品物をそろえて比較する
製造業の採用動画も、完成尺だけでは見積もりを比較できません。撮影する拠点や工程が増えれば準備・移動が変わり、複数職種や言語に展開すれば取材・編集の作業も増えます。
| 検討する案 | 制作範囲の例 | 見積もりでそろえる条件 |
|---|---|---|
| 一職種を紹介 | 一つの職種の仕事風景と社員インタビューを中心にする | 撮影場所・時間、出演人数、完成本数、字幕、修正範囲 |
| 複数職種を紹介 | 職種ごとの取材と撮影を行い、別々の動画にまとめる | 職種ごとの必要カット、移動、共通素材、納品本数 |
| 媒体別に展開 | 採用ページ用に加え、SNS用の短尺版などを作る | 縦横比、編集内容、文字の配置、利用する媒体 |
この表は発注内容を整理する例で、料金プランではありません。予算を相談する際は、必須の一本と追加で欲しい展開を分けて伝えます。撮影日や出演者の予定を集約できるかも検討しますが、必要な現場確認や収録を省かない範囲で調整してください。

製造業の仕事や価値観を伝えた自社制作事例
伊藤商店様|ドライバーの職場の雰囲気を伝える
愛知県東海市で生コンクリート製造を中心に事業を展開する株式会社伊藤商店様の、ドライバー採用を目的とした動画です。社員の笑顔を意識し、仕事への真剣な姿勢と親しみやすさを伝える撮影を行いました。
製造工程を担当する人の事例ではありませんが、製造業の企業においても、募集職種に合わせて見せる仕事と人を選ぶ考え方が参考になります。

伊藤商店様|理念採用動画とビジョンマップ
同社の理念採用動画とビジョンマップも制作しました。企業が大切にする理念や将来像を映像とビジュアルで伝えることを重視した案件です。仕事内容だけでなく、企業の考え方をどう説明するかを検討する際の制作例です。
ここで紹介したのは公開済みの制作内容です。応募数、採用単価、定着率の改善を測定・実証した事例として紹介しているものではありません。

コピーして使える製造業向け採用動画の企画シート
以下をコピーし、分かる項目から埋めてください。未定の部分を共有するだけでも、社内の調整や制作会社への相談を進めやすくなります。
| 確認項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 募集職種・対象者 | (記入欄) |
| 視聴者に理解してほしい仕事 | (記入欄) |
| 応募前によく聞かれる質問 | (記入欄) |
| 動画を見せる場所・次に案内するページ | (記入欄) |
| 撮影したい工程・場面 | (記入欄) |
| 出演候補者と担当業務 | (記入欄) |
| 確認できる教育方法・働き方の情報 | (記入欄) |
| 撮影可能な区域・公開できない情報 | (記入欄) |
| 現場の立ち入り条件・確認担当者 | (記入欄) |
| 希望する納品物 | 本数/尺/縦横比/字幕・言語 |
| 公開希望日・社内確認の期限 | (記入欄) |
| 予算・支給できる素材 | (記入欄) |
| 公開後に確認する指標・運用担当 | (記入欄) |
公開前と公開後に確認すること
公開前は、仕事の説明と映像が食い違っていないかを確認します。普段と異なる勤務や教育の様子を、一般的な働き方のように見せないことが大切です。採用ページの募集職種、勤務地、応募方法にもつながるように配置してください。
- 募集職種の仕事内容を、初めて見る人にも説明できているか。
- 勤務条件や制度の説明は、最新の採用情報と一致しているか。
- 公開できない製品、図面、記録、人物などが映っていないか。
- 音声と字幕が、実際の視聴端末で確認できるか。
- 採用情報や応募先へのリンクが機能しているか。
公開後は再生数に加え、採用ページへの遷移、応募までの動き、面接での仕事内容の理解を確認します。「動画を見て仕事のイメージが変わったか」を聞く方法もあります。採用結果には募集条件や選考対応も影響するため、動画だけの成果と断定せず、同じ職種や募集期間で振り返りましょう。
製造業の採用動画でよくある質問
社員が顔を出せなくても作れますか?
手元、作業の後ろ姿、図解、説明音声などを組み合わせる方法があります。ただし、顔以外でも人物を特定できる場合があるため、出演・公開する範囲を本人と確認します。無理な出演を前提にせず、伝えたい情報から表現を検討してください。
工場内部をほとんど公開できない場合はどうしますか?
公開可能な場所、見本、社員の説明、図解を使い、仕事内容を伝える構成を検討します。別の現場の映像を、自社の現場であるかのように見せないことも重要です。
採用動画を新人教育にも使えますか?
会社や仕事の概要を説明する部分は共通利用できる場合があります。ただし、採用動画は作業手順や安全上の判断基準を網羅する教材とは目的が異なります。教育用に必要な内容と確認方法は、別に整理しましょう。
製造業の採用動画を、企画から相談する
アールアイメディアは、愛知県名古屋市を拠点に法人向けの動画を制作しています。募集職種、求職者に伝えたいこと、撮影できる工程を整理するところからご相談いただけます。
発注全体の進め方は中小企業の採用動画制作ガイドをご覧ください。ご相談時には、現在の採用ページと、面接や工場見学でよく聞かれる質問があると、企画を具体化しやすくなります。
募集職種と、撮影できる現場が決まっていればご相談いただけます。 未定の項目も含め、必要な撮影・編集の範囲を一緒に整理します。


